エステルとレイヴンが俺達の前から姿を消した。
バクティオン神殿へと向かいながら思うのは、
「・・・レイヴン」
イエガーはそこにエステルがいるといった。
だが、レイヴンもそこにいるとは限らない。
今更思い出した少しの記憶。
疑いたくはないのに、それらの記憶が彼の裏切りを示しているようで。
「そんなはずない・・・よな」
俺が知るレイヴンはそんな奴じゃない。
でも、
俺はレイヴンの全てを知っていたのか?
胡散臭くて、俺たちと親しくしているようでも、どこかで必ず線をひいていた男。
そうだ。
いつも、あんたは内側なんて見せてはくれなかった。
「結局、俺は何も知らなかったんだな。あんたのことを、なに一つ。」
俺達の繋がりなんて、俺達の旅にあんたが同行していただけ。
ただ、それだけのこと。
あんたがいない今、
俺達をつなぐ糸なんて、
簡単に消え失せた
(あんたとのつながりが消えたことに、こんなにも寂しさを感じる)
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